
日常的に「疲れが取れない」と感じることは誰にでもあるため、慢性疲労と慢性疲労症候群は同じものだと混同されがちです。しかし、これらは単なる疲れの度合いの違いではなく、医学的には全く異なる状態を指します。
まず、一般的な慢性疲労とは、過度な仕事やストレス、睡眠不足、不摂生な生活習慣などが原因で引き起こされる疲労状態です。疲れが6ヶ月以上にわたって慢性化している状態を指しますが、これらは十分な休息や睡眠を取り、生活習慣を改善したり、ストレスの原因を解消したりすることで、徐々に回復していくという特徴があります。一方、慢性疲労症候群(ME/CFS)は、休息を取っても全く回復しない、原因不明の重篤な神経免疫疾患です。単に強い疲労感が続くだけでなく、微熱、頭痛、筋肉痛、関節痛、思考力や記憶力の低下(ブレーンフォグ)、睡眠障害など、全身に多彩な症状が6ヶ月以上にわたり持続または再発します。最大の最大の特徴は、軽い身体的・精神的活動の後に、24時間から48時間以上遅れて急激に症状が悪化する労作後の体調悪化(PEM)という現象が起こる点です。
慢性疲労症候群の患者は、かつては健康に過ごしていたにもかかわらず、ある日を境に激しい疲労感に襲われ、日常生活や社会生活を送ることが困難になります。慢性疲労は「休めば治る疲れ」であるのに対し、慢性疲労症候群は「休んでも治らず、日常生活に支障をきたす疾患」です。長引く疲労の裏に重大な病気が隠れている可能性もあるため、自己判断せず、専門の医療機関を受診することが大切です。